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気持ち揺らぐ [記憶]

最近、こうした猫とよく会い、関わり、家に入れたこともあったということを周りに話してみました。

すると意外にもこんなことを言われたのです。

やめときな。
野生で生きてきた猫を人間の日常環境に巻き込むのはかえってその子にとっては酷だよ。

言っている意味が良く分からなかったのですが、それが解るまではそう時間はかかりませんでした。

僕には一年半付き合っている彼女がいます。
彼女にも同じようなことを言われたのですが、僕に懐くのは以前飼い猫だったのではないかと。
もしかしたら、既に飼い主がいるのではないかとも。


そうなると、これ以上関わることは許されないし、飼い主がいるならその届けを出さないともいけない。
しかし、首輪らしきものも、その跡も見当たらなかったのです。

飼っているわけではないが、定期的に世話をしてる人がいることも可能性があると考えました。


もう忘れようと思ったその日から、
そいつのことが頭から離れることはありませんでした。

しかし、それからやつを見かけることがなく、僕の記憶からやつが少しずつ遠のいていったのです。




そんなある日、彼女が家にくることとなり、駅まで迎えに行ったその帰り、玄関付近からニャーと鳴く声がしたのです。

もしかして…

声のする方へ耳を傾け、路地裏や車の下などを覗いてみたのですが、猫らしき姿はどこにも見当たりませんでした。

すると彼女のほうから、

あの子じゃないの?

とある方へ指を指しました。

彼女の指が指すほうへ目を向けると、腰高程の塀壁の上に、僕らをみつめるやつがそこにいたのです。


そしてやつはその塀壁から身を下ろし、ゆっくりと僕らに近づいてきました。

か細い鳴き声を発しながら、僕らに近づくやつを見て、僕は少し心が締め付けられる思いで切なさに浸ってしまいました。

「これが例の猫やねん。」

俺は彼女にやつを紹介した。

猫アレルギーを持つ彼女でしたが、
自分に甘えてくるそいつを見て、衝動的にそいつの身体を優しく撫でてました。



飼ってあげたら?





そう言った彼女に少し戸惑いました。



いやいや…せやねんけどなー



自分でも答えが出せないまま、
その場を濁らすような返事で場を凌いでみました。

なんの覚悟も持たないまま、僕がこいつと暮らすことなんて出来ない。

そんな自分に嫌気もさしましたが、
やはり結論は変わりませんでした。


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