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ウニと名付けられたその日 [記憶]

その猫が家族の一員として加わった初日、僕だけじゃ心配だということで、その日は一泊することになりました。

せっかくだったら名前をつけてあげないとね。

彼女がそう言いました。
彼女は、いつかペットを飼ったら海鮮系の名前をつけたいというわけのわからない願望があり、海鮮ベースの名前をいくつか候補にあげました。

サザエ?
いやもうありがちやん。

しじみ?
可愛げあれへんやん。

ワカメ?
……

やっぱそもそも海鮮事態があかんのんちゃうの?!

それでも彼女は海鮮ベースから脱線しようとしませんでした。
頑固というかなんというか、それが彼女の魅力的なところでもありますが。

じゃあ二文字は?
僕がそう提案すると、彼女は即座な名前を挙げました。

うに!

うに?

うん。ウニたん!
可愛いくない?

ウニか…
ええんちゃう!
ウニでいこ。

二文字で絞った途端、すぐに名前が決まってしまいましたが、名前をつけるのって案外こんなもんなのかと思いながら、僕に名前をつけたときの両親の様子をなんとなく想像もしてみました。

実は数分程で決められてたらどないしよ。と…笑

この日から、ウニと呼ばれるこの猫と僕とこのオンボロアパート、そして時々彼女との暮らしが始まったのです。

名前が決まった瞬間、僕たちはウニと連呼し、振り向いてくれるまで呼び続けましたが、ピクリとも反応してくれず、部屋を散策するようにあちこちとウロウロしてました。

落ち着かないのか、玄関に座り、ずっと扉を見つめてました。

その後ろ姿は、どこか切なさを感じさせ、これでよかったのかと少し自問自答することとなりました。

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